Canvaは、広告、SNS投稿、印刷物、販売用デザインなどの商用制作に利用できる場面があります。ただし、Canvaを使うこと、素材を利用すること、完成品を売ること、素材そのものを再配布することは、それぞれ確認する条件が違います。「無料素材だから自由」「Pro契約なら何でも使える」と一括りにしないことが大切です。
まず作りたいものと渡し方を決め、使う素材の種類、ライセンス、追加制限を照合します。自分の店のチラシ、販売するTシャツ、編集用テンプレート、クライアントへ納めるデータでは、同じ素材でも判断する箇所が変わります。商標登録を予定するロゴや音楽入り動画は、特に早い段階で確認しましょう。
この記事は2026年10月4日にCanvaのグローバル公式Content License Agreementと公式ヘルプを確認した一般的な整理です。日本語の解説と実際に適用される条件に差がある場合は、現行規約と素材個別の表示を確認してください。個別案件の法的適合性を保証するものではなく、判断が難しい契約や権利の問題はCanvaサポートや弁護士等へ相談します。
Canvaの商用利用は素材と使い方で確認する

商用利用の質問を、具体的な用途へ分ける
「Canvaで商用利用できますか」だけでは、判断に必要な情報が足りません。誰が、何を作り、どこへ掲載し、何を販売または納品するのかを書き出します。たとえば「自店の新商品を宣伝するSNS画像を作る」と「購入者が編集するSNSテンプレートを販売する」では、完成品の使われ方が違います。
商用の場面は、有料の商品販売に限りません。無料配布するチラシ、事業の集客用SNS、スポンサーの宣伝などでも、商用・広告上の利用として考える必要があります。自分がデザインを無料で配るから個人利用になる、と判断しないようにしましょう。
確認用のメモには、「用途」「掲載媒体」「受取人」「編集の有無」「販売・配布方法」の五つを書けば十分です。このメモがあると規約の該当箇所を探しやすくなり、問い合わせる場合にも話が具体的になります。完成直前に用途を確認するより、作り始める前に決める方が修正を減らせます。
一つのデザインでも素材ごとに権利がある
Canvaのデザインには、写真、イラスト、図形、フォント、動画、音楽などが含まれます。自分がレイアウトを組んだ部分と、素材提供者の権利は同じではありません。複数の素材を使ったから、元の素材の権利が消えるわけではないことを押さえておきます。
公式規約では、異なる区分の素材を組み合わせる場合に、より厳しい区分の条件がデザイン全体へ適用されると説明されています。通常のFreeやProだけでなく、Branded Content、Education Contentなどの表示も確認します。一つだけ制限の強い素材が混ざっている場合を見落とさないようにします。
実務では、背景、装飾、写真、文字、音声を順に確認すると整理しやすくなります。目立つ写真だけ調べ、背景に使った小さなイラストや動画のBGMを忘れることがあるためです。複製した古いデザインを使う場合も、引き継がれた素材を対象に含めてください。
出典:Canva「Content License Agreement」。
プラン名と、素材の利用許諾を分ける
Canva Proなどの契約は、使える機能や素材へのアクセスに関係します。一方、素材をどの用途へ使えるかはライセンスで決まります。有料プランだから禁止用途がなくなるわけではなく、無料アカウントだから一切商用制作できないわけでもありません。
素材を選ぶときは、料金表示だけで判断せず、素材の詳細や出典を開いて種類を確認します。公式のLicensing Explainedも、素材を使う権利と著作権の所有を分けて説明しています。利用許諾を得た素材を、自分だけの独占素材として売ることはできない場合があります。
見積もりを作る段階では、デザイン制作費、Canva等の利用料、第三者素材の費用、追加ライセンスの有無を分けて考えます。どの費用が発生するか分からないまま「素材代込みで何にでも使えます」と約束しないことが、後の認識違いを減らします。
出典:Canva「Licensing Explained」。
よくある用途を、最初の確認表で整理する
次の表は一律の許可を示すものではなく、確認を始めるための目安です。販売先や納品先が決まっている場合は、その条件も加えます。素材の種類が違えば、同じ用途でも結論が変わることがあります。
※表は横にスクロールできます。
| 作りたいもの | 先に確認すること | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 自店の広告やSNS画像 | 各素材の商用・広告利用条件 | 音楽や人物写真の制限 |
| Tシャツや紙製品の販売 | 独自のデザインか、素材単体の再販か | 色変更だけで独自扱いにしない |
| 編集用テンプレート販売 | Free/Proと販売形式 | Pro入りの外部ファイル形式の制限 |
| ロゴ・ブランドの標章 | 独占性と商標用途 | 素材ライセンスと商標登録は別 |
| クライアント納品 | 契約、用途、完成品と編集データ | 素材単体の譲渡を含めない |
「できそうな用途」から始めるより、納品物に含まれる権利を確認していく方が確実です。途中で販売方法が変わった場合、たとえば印刷済み冊子から編集用テンプレートへ変更した場合には、同じデザインでも改めて判断してください。
判断できない素材は制作の早い段階で分ける
出典や条件が分からない素材は、すぐに完成デザインへ組み込まず、確認待ちとして分けます。似た雰囲気の代替候補を用意しておけば、あとから使用できないと分かった際に修正しやすくなります。見た目が気に入ったという理由だけで、確認を後回しにしないことが重要です。
納期が迫っている場合は、分からない素材を使い続けるより、自作素材や権利関係を確認できる素材へ置き換える方が進めやすい場合があります。ただし、自作写真でも写り込んだ人物や作品などの確認が必要です。素材の出所が分かることと、あらゆる権利が処理されていることを混同しないでください。
無料・Pro・持ち込み素材の違いを整理する

Free素材も出典と追加表示を確認する
Freeは、無料で使える区分を示しますが、著作権が存在しないという意味ではありません。素材の詳細で出典を確認し、CC0、Public Domain、Branded Content、Education Contentなどの表示があれば、その条件を読みます。Freeという表示だけを記録して、素材の種類を省略しないようにします。
使いたい素材を見つけたら、素材名や提供者、情報画面へ戻れる手掛かりを残します。検索語だけでは、後日に同じ素材を再び見つけられない場合があります。実際に採用した素材を識別できる情報があると、修正時や問い合わせ時の確認がしやすくなります。
クレジット表記も、全素材について常に不要と決めつけないようにします。特定の利用方法や出典の条件で表記が必要になることがあります。表記が必要なら、掲載場所や納品先で実行できるかを先に確認し、実行できない条件なら別の素材を検討します。
Pro素材はデザイン単位で考える
Pro Contentは、基本的に一つのCanvaデザインへの利用を許諾する仕組みです。公式説明では、ライセンスは書き出し時に発行され、有効な契約がある場合は新しいデザインの書き出しに応じて付与されます。素材を一度使ったから、元の画像ファイルを自由に配布できるようになるわけではありません。
同じ写真を別サイズの広告や別案件で使う場合は、実際のデザインと書き出しの記録を分けます。以前の画像ファイルを別アプリへ持ち出して使うことまで自動的に認められると考えず、予定する使い方をライセンスと照合してください。素材単体と完成デザインの区別が重要です。
契約変更や解約がある場合は、過去に適切に書き出したデザインと、新しく編集・書き出すデザインを分けて確認します。「解約したら過去の全作品が使えない」「過去に契約していたから今後も何でも書き出せる」といった極端な理解を避け、現行の公式案内と利用履歴を確認しましょう。
出典:Canva「Licensing Explained」、Content License AgreementのPro Content・Getting a license。
Editorial、ブランド素材、教育用素材を見分ける
「Editorial Use Only」とされる素材は、通常の広告や販売促進、商品化へ使えません。報道や解説の文脈で利用できる場合でも、スポンサー付きの記事や商品の推奨へそのまま使えるとは限りません。画像の題材が自分の商品に合っているという理由だけで採用しないでください。
ブランドと連携したBranded Contentは、個別表示で別の条件が示されない限り、商用や宣伝用途に使えないとされています。教育用のResource表示がある素材も、教育・非商用向けです。また、Canva Educationで提供されるPro素材の利用には非商用の条件があるため、副業用の制作と混ぜないようにします。
制作の現場では、「有名なキャラクターの素材が検索で出てきた」「Proで選べた」という事実を許可の根拠にしないことが重要です。ブランドの推奨や提携があるように見える使い方にも注意します。商用のデザインには、用途へ適合することを確認できた素材だけを残してください。
自分でアップロードする写真やフォントも確認する
持ち込み素材には、Canva以外で購入した写真、自分で撮影した写真、依頼されたロゴ、フォントファイルなどがあります。Canvaへアップロードできたことは、権利の確認が済んだことを意味しません。元の配布元や契約で、商用利用、クラウドへのアップロード、共同編集などが認められるかを確認します。
公式のアップロード案内は、自分が所有するか利用許諾を持つ素材をアップロードすることを求めています。フォントについては埋め込みを許可するライセンスか確認するよう案内しています。デスクトップで印刷物を作る許可だけを持つフォントを、当然にCanvaへ登録できると考えないようにします。
クライアントから提供された素材にも、使用目的と権利の範囲を確認します。「先方から送られたので問題ない」で終わらせず、今回の広告や納品形式に使う許可があるかを合意します。条件が不明なら、確認済みの素材へ差し替えるか、必要な許諾を得てから使用してください。
出典:Canva「アップロード形式と要件」、Canva「Terms of Use」。
音楽はStock MusicとPopular Musicを分ける
音楽には、通常の素材ライセンスで扱うStock Musicと、別のPopular Music License Agreementが適用されるPopular Musicがあります。音源の情報画面で商用利用可などの表示を確認してください。聞いたことのある曲が一覧に表示されることと、事業の動画へ利用できることは別です。
Popular Musicは広告、収益化動画、スポンサー投稿などの商用利用に使える音楽として扱わないでください。地域にも制限があり、確認時点の利用可能地域一覧に日本は含まれていません。地域制限を回避して使うことも認められていないため、国内の商用動画では適合する別の音源を選びます。
Pro Musicにも、テレビ、ラジオ、ポッドキャスト、映画等に関する制限があります。オンライン広告へ利用できる場合がある一方で、媒体を変更すると再確認が必要です。動画をどこへ出すかが未定のまま曲を先に決めず、納品先と配信媒体に合う条件を調べましょう。
出典:Canva「Popular Music License Agreement」、Canva「Popular Musicの案内」、Content License Agreementの音楽の項目。
AI生成物は素材ライブラリと生成機能を分ける
Canvaの素材ライブラリにあるAI生成素材と、自分が生成機能へ入力して作った出力は、確認する説明が同じとは限りません。ライブラリ素材にはFreeやProの区分が付く場合があります。一方、自分の生成機能利用では、その機能に適用される規約を確認する必要があります。
AIで作った画像だから、既存の商標、人物、作品との関係を調べなくてよいとは考えないでください。有名なキャラクターやブランドへ似せた表現、実在人物が推奨しているように見える広告などは、別の問題になり得ます。商用公開前に、内容そのものも確認します。
クライアント案件では、AI素材の利用可否が契約で指定される場合があります。依頼内容に反して使わないよう、制作前に素材方針を確認してください。生成物の権利や独占性を保証する約束をする場合には、通常のレイアウト制作とは別に専門的な判断が必要になります。
販売物・ロゴ・テンプレートの利用条件

販売するのは自分が制作したデザインかを考える
公式ヘルプは、販売する商品には独自のデザインが必要だと説明しています。素材を一つ選び、そのままTシャツへ印刷して売る方法は、素材の再販に当たるとされています。単なる色変更、切り抜き、サイズ変更、フィルターやわずかな枠追加だけで、独自デザインになったと判断しないようにします。
作品を作るときは、伝えたい内容、配置、文字、複数要素の関係などに、自分の制作上の工夫があるかを考えます。ただし「素材を三つ使えば必ずよい」「何割変えればよい」という共通の基準はありません。要素の個数を満たすためだけに装飾を足しても、判断の代わりにはなりません。
販売前には、購入者が何に対して代金を払うのかを確認します。元の素材を取り出して再利用することが商品の目的なら、完成デザインの販売とは性質が違います。説明文でも「自分が撮影した写真」「独占イラスト」など、実際の権利と異なる表現を使わないようにしてください。
印刷物やグッズは印刷先への渡し方も決める
Tシャツ、カード、ポスターなどを販売するときは、完成デザインの内容に加えて、印刷会社へ渡すファイルを確認します。印刷に必要な完成データと、素材を自由に取り出せるデータは同じではありません。印刷会社が求める形式と、利用素材の条件が両立するかを見ます。
デザインを作る前に、仕上がり寸法、塗り足し、色、解像度、文字の扱いなどを印刷先へ確認すると、あとから素材の再配置を減らせます。ライセンスの確認と印刷品質の確認は別ですが、納品形式が決まっていないと両方で手戻りが生じやすくなります。
オンデマンド印刷のサービスへ登録する場合は、そのサービスがデザインへ求める権利も確認します。自分が持っていない再許諾や独占権を、登録時に約束しないようにします。素材を使える条件と販売先の条件が合わない場合は、素材や販売方法を見直してください。
ロゴは商標登録と独占性を先に相談する
ロゴの制作では、商標として登録したいか、同じ形をほかの人が使ってもよいかを先に確認します。Canvaの写真やイラスト等のストック素材は、一般に非独占の利用です。ブランドの象徴として独占したい依頼へ、素材を選んだだけのロゴを独占品として納めないようにします。
Canvaのロゴに関する公式ヘルプは、商標登録を意図する場合に、自作のロゴをアップロードする方法や、Freeの単純な線・図形とフォントを使って独自に作る方法を示しています。一方、ストックの写真・グラフィックは商標用途に適さず、テンプレートのロゴは他の利用者も使えるため独占できません。
フォントや単純な図形を使えば、商標登録が必ず認められるという意味ではありません。既存の標章との関係や識別力など、ライセンスとは別の確認があります。登録や独占性が重要な案件は、弁理士などの専門家へ相談し、依頼時の説明と納品する権利を一致させてください。
テンプレート販売は編集用か完成品かを区別する
テンプレートは、購入者が編集やカスタマイズをして完成させることを想定したものです。Canva公式ヘルプは、Pro素材入りのテンプレートを販売する場合、Canvaで編集するためのテンプレートリンクとして共有する条件を示しています。PDF等に書き出した編集用ひな形を、Pro素材入りで販売できると一律に考えないでください。
完成した電子書籍と、読者が作り替えて使う編集用データでも扱いが変わります。PDFという拡張子だけで判断せず、商品がどのように利用されるのかを見ます。購入者が記入する欄があるだけで、すべてが編集用テンプレートになるわけでもありません。
販売ページでは、納品形式、Canvaでの編集の有無、購入者側のアカウントや有料素材の利用条件を説明します。自分の契約で書き出せたことだけで、無料利用者の購入者も同じように書き出せるとは約束しないでください。購入者の利用環境を想定して確認することが重要です。
写真集・素材集と電子出版物を混同しない
写真やイラストを集め、再利用できる素材ファイルとして販売することは、完成デザインの販売とは異なります。Canvaの素材を自分の素材集やクリップアート商品に組み入れる場合には、素材の再配布や再販の禁止に関わります。表紙を付けただけで問題がなくなるとは考えないでください。
電子書籍やWebページへPro素材を使う場合には、未編集の素材ファイルに対するピクセル数など、オンライン・電子出版向けの制限もあります。確認時点の規約には48万ピクセルの制限とCanvaで公開・埋め込みする場合の例外があるため、該当する使い方では第5A項を確認します。
実務では、写真を原寸に近い形で多数掲載する商品や、素材を抽出しやすい配布形式を特に慎重に確認します。読者が文章や情報を読む完成出版物なのか、画像を再利用するためのデータなのかを説明できるようにし、境界が曖昧な場合は公開前にCanvaへ問い合わせます。
クライアントへの納品と共有を確認する

一人のクライアントへ渡す条件を契約で整理する
公式規約は、Canva素材を含む完成デザインをクライアント自身の利用のために譲渡する場合の条件を定めています。書面で利用条件を合意すること、依頼者が規約を守ることへの責任、対象デザインを一人のクライアントへ移転することなどが含まれます。単にファイルを送るだけで、素材の権利すべてが移るわけではありません。
受注時には、使う媒体、利用者、改変の範囲、再配布や再販売の予定を確認します。SNS投稿用として受けたデザインが、後から外部向けテンプレートとして販売されるなら、最初とは用途が変わります。想定する利用を契約や発注書へ残し、変更があれば再確認する流れを決めましょう。
条件の説明では、すべてを法律用語で長く書くより、「完成デザインを自社のSNSで利用する」「含まれる素材を抜き出して素材集として販売しない」など、具体的な使い方を添えると伝わりやすくなります。正式な契約文が必要な場合は、個別案件に合うよう専門家へ確認してください。
出典:Canva「Content License Agreement」第4A項。受注前の確認は業務委託契約のチェックポイントでも整理できます。
完成画像と編集用データを分けて見積もる
PNGやPDFなどの完成ファイルを納める場合と、Canvaの編集可能なデザインを渡す場合では、依頼者ができることが違います。文字を差し替えるだけなのか、素材を変更して別の広告へ展開するのかを確認します。納品後に必要な編集を想定しておくと、形式を選びやすくなります。
完成ファイルだけなら、用途に合わせた寸法と画質で納め、素材単体のファイルを添付しない方法が考えられます。編集データが必要なら、依頼者側で使える素材やフォント、書き出し時の条件を確認します。編集可能であることが、第三者素材を自由に再許諾できるという意味にはなりません。
見積もりには、納品形式、編集データの有無、修正回数、納品後の更新、素材差替えの扱いを分けて記載します。最初の制作費だけで永久の更新対応まで含むと誤解されないようにし、ライセンスが関係する変更は追加確認が必要なことも説明してください。
共有リンクの種類とアクセス範囲を確認する
共有では、閲覧、コメント、編集、テンプレートとしての利用など、必要な権限を選びます。依頼者が完成物を確認するだけの段階で、誰でも編集できる状態へする必要はありません。目的に合う範囲で共有し、誤って別の案件の資料を見せないようにします。
顧客名、未公開の商品情報、個人情報、契約資料などを含むデザインは、素材ライセンスとは別に情報管理の確認が必要です。クライアントがクラウドサービスへのアップロードを許可しているか、作業を行うアカウントやチームの範囲が適切かを確認します。
納品直前には、共有先、共有権限、リンクの対象デザインを見直します。原本を上書きされたくない場合は、実際の共有方法と受取側の操作を確認してください。操作できるかの検証は、権利を越えた配布を許可するものではないため、ライセンスと共有設定の両方を確認します。
権利の説明を短い納品メモへ残す
納品時のメモには、完成デザインの用途、使用した主な第三者素材、編集上の注意、再配布の制限、次回更新の窓口を簡潔にまとめます。素材のライセンス文を大量に貼るだけでは、依頼者が何を守ればよいか分かりにくくなります。必要な条件と公式リンクを対応させると確認しやすくなります。
たとえば「このデータは貴社の案内用SNS画像として制作しています。含まれる素材を単体で取り出して配布・販売する用途は含みません。ほかの媒体へ展開する際は使用条件を再確認してください」というように、実際の合意へ合わせて説明します。この例をそのまま法的な契約書として使うのではなく、案件に必要な内容へ調整します。
相手から「著作権をすべて譲渡してほしい」と求められた場合には、自分が制作した部分と第三者素材を分けて説明します。自分が持たない権利を譲渡する約束はできません。完全な独自素材が必要なら、素材を差し替える、別途制作するなど、納品内容の見直しを相談します。
ポートフォリオ掲載は納品の許可と別に考える
クライアントへ納品できたからといって、その作品を自分のSNSや実績ページへ自由に掲載できるとは限りません。未公開情報、依頼者のブランド、契約上の秘密、人物の写真などが関係します。公開範囲と時期、表示する社名、掲載してよい画像を確認してください。
実績紹介では、依頼者の許可を得た版を使い、取引画面、連絡先、非公開メモなどを写さないようにします。編集画面のスクリーンショットを使う場合も、別案件のサムネイルやアカウント情報が見えていないか確認します。作品だけを見せたいなら、公開用の完成画像を別に準備します。
制作の仕事を継続する場合は、納品形式と権利の説明を受注時から整えることが大切です。仕事内容や見積もりの全体像は、Webデザイン副業の進め方も参考に、案件ごとの条件を整理してください。
公開前にライセンスと素材を記録する

素材一覧は後から同じものを探せる形にする
記録する項目は、素材名や識別情報、提供者、Free/Proなどの区分、出典URL、確認日、デザイン名、使用箇所です。すべてを長文にする必要はありません。あとから「どの素材を、どのデザインで、何の目的へ使ったか」を確認できる状態にします。
素材の検索語だけを残すと、検索結果が変わった際に同じものを探せなくなる場合があります。情報画面に表示される名称やIDなど、採用した素材を特定する手掛かりを控えます。ライセンスの確認に用いたページも、対象の箇所が分かるよう記録すると役立ちます。
デザインを複製して別案件へ使うときは、記録もそのまま複製して終わりにせず、素材の追加や削除、用途、納品先を更新します。音源の変更やテンプレート化は条件が変わりやすいため、見た目が似ていることを理由に確認を省かないようにしましょう。
公開前は用途、素材、渡し方をもう一度照合する
最終確認では、制作前に決めた用途と、実際に公開するものが一致しているかを見ます。SNS画像のつもりが印刷グッズへ変わった、完成品のつもりが編集テンプレートになった、無音動画へ音楽を加えたなど、作業中の変更があると条件も変わります。
- 使用素材の出典と区分を確認し、用途へ合わない素材がない
- 元素材の単体再販や、取り出して再利用する商品になっていない
- ロゴの独占性や商標用途について、依頼内容と矛盾していない
- 音源の種類と配信媒体、収益化や広告利用の条件が合っている
- 納品先、契約、共有権限と、相手側の編集・書き出し条件を確認した
- 完成データと素材の確認記録を、案件ごとに保存した
チェック表に印を付けるだけで利用可否が確定するわけではありません。分からない項目が残った場合は、その素材や用途を具体的にして公式へ確認します。「一般に商用利用できますか」という質問より、用途、形式、素材の識別情報を示した方が相談しやすくなります。
音楽の権利申立てには対象デザインの記録を使う
音楽入り動画を投稿すると、正当なライセンスがあってもContent IDの申立てが生じる場合があります。Canvaの公式ヘルプは、対象デザインのリンク、ライセンス情報、申立ての画面などを用意してサポートへ確認する手順を示しています。申立てが来たことだけで、必ず無許諾だったとは断定できません。
一方、規約で認められていない音源や用途だった場合に、別動画のライセンスを出して解決しようとしてはいけません。どのデザインから書き出した動画か、使った音源はどれか、公開したアカウントはどれかを照合します。対象に合った記録を残しておくことが重要です。
公式ヘルプには投稿先アカウントを接続する案内もありますが、接続はアカウント権限に関わります。仕事で使う場合は、クライアントや管理者の許可範囲を確認して進めます。権利申立てを避ける目的だけで、必要以上のアクセスを共有しないようにしてください。
出典:Canva「Content IDの申立てを防ぐ・解消する」。
画像の著作権に関する通知が来たら放置しない
素材画像について権利侵害の通知を受けた場合は、通知の内容と実際の画像を照合し、対象デザインのリンク、素材の識別情報、通知の写しを整理します。Canvaの公式ヘルプは、申立て対象の画像の利用を止め、必要な情報を集めてサポートへ連絡する流れを案内しています。
通知を見ただけで、相手へ料金を支払ったり、権利を認める文面を送ったりする必要はありません。請求元が正当か、対象素材が何か、Canvaから適切に許諾を得ているかを確認します。ただし、放置してよいという意味でもありません。期限や法的な通知がある場合は弁護士等へ相談します。
クライアントのサイトにも同じ画像を使っている場合は、影響範囲を確認し、必要な対応を相談します。手元のデザインだけ直して、既に公開された画像が残っていないかを見ます。差替え前後の記録を残すと、どの版をいつ変更したか説明しやすくなります。
出典:Canva「デザインで使った画像の著作権通知への対応」。
再利用や契約変更のときに記録を見直す
公開後も、デザインを別の媒体へ転用するとき、クライアントが変わるとき、編集用に再販売するとき、音源や素材を差し替えるときには再確認します。過去に一度使えたことだけで、将来の新しい用途まで同じ条件になるとは限りません。
定期的な制作では、よく使う素材の候補と確認記録を整理しておくと、確認の負担を減らせます。ただし、古いスクリーンショットだけを永久に根拠にするのではなく、変更がある場面では現在の規約も確認してください。素材の公開終了や権利に関する通知があったときに見直せるようにします。
Canvaの商用利用は、使う素材と用途、完成品の渡し方をそろえて確認することで判断しやすくなります。無料・有料の二択だけで決めず、販売物、ロゴ、テンプレート、音楽、クライアント納品を分けて準備し、分からない条件を残したまま公開しないことが基本です。


