賃貸の電子契約では、書類をデータで受け取る承諾、IT重説を受けること、契約内容への同意を分けて確認します。重要事項説明に使う書面は説明前に、契約成立後に交付する書面はその後に受け取るため、メールが一通届いただけで手続き全体が終わるわけではありません。
ここでは、303号室の契約開始日が11月1日から11月5日へ訂正される例を使います。説明前の書面、訂正版、契約案、契約後の完成書面を順に照合し、どのファイルを受け取り、何を確認してから次へ進むかを整理します。
宅建業者の仲介で日本国内の居住用普通借家を借りる成人向けの一般的な確認方法です。2026年10月12日(日本時間)に国土交通省の現行案内を確認しました。物件・日付・文書名・やり取りは説明用の架空例です。売買、定期借家、事業用、貸主が自ら貸す場合の全条件を扱うものではなく、個別契約の効力は判断しません。
賃貸の電子契約は書類の受取りと説明・同意を分けて考える

電子交付・IT重説・契約への同意は別の手続き
電子交付は、紙で受け取る書類を電子データで受け取る方法のことです。IT重説は、映像と音声を使って宅地建物取引士から重要事項の説明を受ける方法です。一方、賃貸契約への同意は、借りる条件について意思を示すことです。「電子契約を使います」という案内の中に、この三つがまとめて書かれていても、意味は同じではありません。
電子交付を承諾する画面では、まず何の書類を、どの方法で受け取ることに同意するのかを読みます。賃料や契約開始日に納得したという意味のボタンなのか、PDFで受け取ることを認めるボタンなのかを区別してください。画面の名称だけで判断できなければ、押す前に担当者へ確認します。
書類が電子なら説明も必ずオンライン、という組合せだけではありません。国土交通省のマニュアルでは、紙の書類を受け取ってIT重説を行う方法や、電子書面を受け取って対面で説明を受ける方法も示されています。端末の使いやすさと説明を受ける場所を、それぞれ相談できます。
2022年5月18日は、宅建業法に基づく重要事項説明書等の書面電子化が可能になった制度の施行日です。あらゆる賃貸契約が、その日まで一切電子的に成立できなかったという意味ではありません。現在の手順を調べる際は、過去の社会実験資料と、国土交通省の現行ポータルに掲載された2024年12月版マニュアル等を区別して参照します。
35条書面と37条書面は受け取る時点が違う
重要事項説明書は、宅建業法第35条に基づく書面として「35条書面」と呼ばれます。電子で交付する場合も、重要事項説明を始める前に受け取る必要があります。説明者の画面を見るだけで済ませず、説明に用いる書面と必要な添付を、自分の手元で確認できる状態にしておきます。
「37条書面」は、契約が成立した後に、遅滞なく交付する書面です。契約前に読む契約書の案と、契約後の法定書面としての交付を混同しないことが重要です。同じような題名のPDFが届いても、それが確認用の案なのか、契約後に交付された完成した書面なのかを担当者へ確認してください。
国土交通省FAQのQ19・Q34は、35条書面と37条書面を同時に交付することはできないと説明しています。ただし、適切な順序を守れば、同じ日に両方を交付することは可能です。「同日だから問題」と決めるのではなく、説明前の受取り、説明、契約成立、契約後の交付という順序を確かめます。
| 届く案内・書類 | 主な役割 | 今回の303号室で残す記録 |
|---|---|---|
| 電子交付の承諾案内 | 対象書面と受取方法への承諾 | 35条・37条、PDF、ダウンロード方式 |
| 35条書面 | 重要事項説明に先立って受け取る | 説明前に取得した35-v1と添付 |
| 契約書の案 | 同意前に条件を検討する | 開始日などを確認する契約案v1・v2 |
| 37条書面 | 契約成立後、遅滞なく受け取る | 成立後に取得した完成版と取得日 |
表は横にスクロールできます。
この表は、借主が確認事項を整理するためのものです。宅建業者が負う書面交付の義務と、借主が自分の記録を分かりやすくする工夫を同じ法的義務として扱うものではありません。ファイル名をこの表のとおりに付けることが法令で決まっているわけでもありません。
303号室の受取記録に最初の情報を入れる
例では、2026年10月12日に、303号室の電子書面をダウンロードする案内を受け取り、10月14日にIT重説を受ける予定とします。最初の重要事項説明書には契約開始日「2026年11月1日」と記載されています。説明後の確認を経て、当事者間で11月5日へ変更することになった、という順で進めます。
文書を区別するため、説明前に受け取る重要事項説明書を35-v1、訂正後を35-v2と呼びます。これはこの記事だけの整理記号です。実際の記録には、物件名と号室、文書名、受取日、書面に書かれた日付、担当者を対応させます。個人情報を不用意に共有しないよう、保存先の公開範囲にも注意します。
入居審査の結果連絡と電子書面の案内が近い時期に届くこともありますが、審査が通ったことと、提示されたすべての契約条件へ同意したことは別です。審査後の全体の流れが分からない場合は、賃貸の入居審査とその後の手続きを参照し、現在どの段階にいるかを確認してください。
担当者へ確認する質問を文書の役割に合わせる
最初の質問は、「今回届くもののうち、説明に使う重要事項説明書と、契約後に交付される書面はどれですか」と具体化できます。「全部電子で大丈夫ですか」という聞き方より、未受領の書面や、これから届くものを特定しやすくなります。回答は、受取記録の予定欄へ追加します。
また、電子契約サービスの操作を案内する人と、重要事項を説明する宅建士が同じとは限りません。操作上の問い合わせ先と、契約内容について質問する窓口を確認します。サービスのエラー表示について聞きたいのか、契約開始日を訂正したいのかによって、伝える相手と必要な資料が変わります。
電子書面を受け取る前に方法と形式を確認する

承諾する書面・方法・形式を特定する
書面電子化を行う前に、宅建業者は、電子書面を提供する方法と、ファイルの形式などを相手へ示して承諾を得る必要があります。方法には電子メール、Webからのダウンロード、記録媒体の交付などがあります。ファイル形式も確認し、自分の端末で受け取り、読むことができるかを見てから返答します。
303号室では「重要事項説明書と契約後の37条書面を、WebからダウンロードするPDFで受け取る」という案内だとします。受取記録の承諾欄には、この対象と方法を記入します。「電子で受け取る」とだけ残すより、後から別方式へ変更する話が出たときに、最初の説明と比べやすくなります。
自分から電子交付を希望した場合でも、必要な承諾の取得は省かれません。一方、書面の種類を明示的に特定できるなら、複数の書面についてまとめて承諾を得ることは可能です。必ず別々のボタンでなければならないという意味ではありませんが、将来の未特定の取引まで何でも電子化する承諾として読まないようにします。
承諾を得る対象も、書面によって異なります。賃貸の35条書面では借主、宅建業者が媒介して成立した契約の37条書面では契約の各当事者が対象です。借主一人の承諾によって、貸主側の手続きまで終わったとは判断できません。借主としては、自分が何の書面について返答するのかを確認します。
PDFを読むことと改変を確認することを分ける
電子書面には、書面として出力できることや、提供後に内容が改変されていないかを確認できる措置などの要件があります。35条書面・37条書面には宅建士の記名も必要です。PDFの文字が見えるだけで、これらの確認がすべて済んだわけではありません。どの方法で確認するのか、不動産会社から説明を受けてください。
国土交通省は、改変防止措置として電子署名とタイムスタンプを示しています。ここでの電子署名は、書面の改変を確認する仕組みの話です。借主が賃貸契約へ同意する操作や、説明を受けたことを確認する操作と、同じ意味で使わないようにします。特定の商品名やアプリだけが全国一律の必須手段という案内ではありません。
また、宅建士の「記名」は、氏名を判別できれば印字でもよいとFAQで説明されています。画面に手書き風の署名画像があるかだけを見て、記名や改変確認の要件を判定しないでください。氏名の表示、実際の改変確認方法、自分が行う同意操作を、別々に理解しておくと混乱を防げます。
スマートフォンでは文字を読めても、電子署名を確認するパネルを表示できない場合があります。マニュアルは、パソコン等での確認方法を画面共有で説明するなどの対応や、見やすい端末の利用を推奨しています。「スマホだから一律不可」とも、「PDFを開けたから必ず十分」とも決めず、手元の環境でできる確認を担当者と合わせます。
形式が変わるときは最初の承諾と照合する
電子書面の提供方法やファイル形式を変更する場合は、変更後の方法について改めて説明し、承諾を得る必要があります。303号室で最初はPDFのダウンロードと聞いていたのに、別形式のファイルがメールで届くことになった場合は、読めるかだけでなく、その変更について説明を受けたかも確かめます。
自分が使う端末をスマートフォンからパソコンへ変えることと、相手から提供される方法・形式が変わることは別です。端末を変えた場合は、新しい環境で閲覧や改変確認ができるかを見直します。何が変わったかを特定せず、あらゆる小さな変更で契約を最初からやり直す、といった決め方はしません。
国土交通省の電子交付の承諾取得例には、物件、対象書面、提供方法、形式、拒否の申出方法などの欄があります。この様式だけが必須というものではありません。自分に届いた案内と比べて、どの書面が対象か、受取方法は何か、変更を希望するときはどこへ連絡するかを確認する手掛かりとして使えます。
紙で受け取る希望は契約の取消と区別する
電子交付に承諾した後でも、改めて拒否する旨を申し出る方法が用意されています。行き違いを防ぐには、対象物件と対象書面、今後は紙で受け取りたい旨を、メールなど記録に残る方法で伝え、担当者からの返答を確認します。これは書面の受取方法の相談であり、賃貸契約を取り消す意思表示と同じではありません。
FAQのQ20は、口頭で拒否の申出を受けた場合でも、宅建業者が任意に紙へ切り替えることはできると説明しています。そのうえで、書面に出力できる形の申出を受け取って切り替えることが望ましいとしています。「電話で言ったから絶対に扱われない」と決めず、記録の残し方と次に受け取る書面を確認してください。
たとえば35-v1をすでに取得した後、以後の訂正版と37条書面を紙にしたいなら、その範囲を伝えます。電子で受け取った旧版が、希望を出した瞬間に自動で消えたり、過去のすべての手続きが無かったことになったりするわけではありません。既に受領したものと、これから受け取るものを分けて整理します。
IT重説の前に書類を開き当日の接続を確かめる

案内リンクの受信と書面の取得を区別する
10月12日、303号室の書面を取得する案内が届いたとします。この時点で記録できるのは「案内を受信した」という事実です。まだダウンロードしていないなら、35-v1を手元に取得した欄は空いたままです。メールを開いたことと、その先のファイルを保存して開いたことを分けて記入します。
国土交通省FAQのQ19は、ダウンロードリンクを送っただけで、相手がダウンロードしていない場合は、電子書面を提供したとはみなされないと説明しています。また、IT重説中に画面共有で見せるだけで、事前に交付していない場合も同様です。説明の予約時間までに、書面の取得が済んでいるか確かめてください。
案内が来たら、送信者と対象物件をこれまでの連絡と照合し、正規の案内であることを確認して取得します。予期しない送信元から届いたときは、案内中の連絡先だけを根拠にせず、把握済みの不動産会社の窓口へ確認すると安心です。アクセス用のリンクや認証情報を、関係のない人へ転送しないようにします。
取得後は、ブラウザの閲覧画面だけでなく、保存したファイルを開き直します。ファイル名が見えているのに容量がほとんどない、最初の一ページしかない、文字が欠けているといった問題がないかを見ます。自分の保存先から開けたところまで確認すると、説明当日にリンクの期限や通信状態だけに頼らずに済みます。
先に届いた書面が完成前の案か、説明に使う交付版かも確認します。FAQのQ29は、案の事前送付と、改変防止措置を施した35条書面の交付を区別しています。案を読んだことだけで済ませず、重要事項説明の前までに、必要な措置を施した説明用の書面が交付されていることを確かめます。303号室の35-v1は、この説明用の交付版を指します。
説明に使う本体と添付をそろえる
35条書面に「別添参照」と書かれ、その添付へ必要な内容が委ねられている場合、その添付も35条書面の一部と考えられます。FAQのQ23は、原則として本体と同じ媒体で提供し、電子の場合は添付も書面電子化の要件を満たす必要があるとしています。一般的な参考資料すべてを同じ扱いにする説明ではありません。
303号室の35-v1に設備の別紙があるなら、本体だけでなく、その別紙も受取記録へ追加します。部屋番号、資料名、ページ数を見て、本体が参照するものと一致するか確認してください。別紙が見当たらない場合は、自分で似た資料を検索して補わず、どのファイルが該当するかを担当者へ聞きます。
本体に書くべき内容を、外部URLだけで示すことについても、FAQのQ22はそれだけでは必要事項を提供したことにならないと説明しています。後から変わり得るWebページへのリンクと、今回交付された書面の一部を区別するため、どの資料が説明対象に含まれるかを確認する意味があります。
| 303号室の記録項目 | 記入例 | 未完了なら行うこと |
|---|---|---|
| 案内の受信 | 10月12日、物件と送信元を照合 | 正規窓口へ対象を確認 |
| 35-v1の取得 | 同日、自分の保存先へ取得 | 取得手順・再提供を相談 |
| 本体の閲覧 | 303号室、開始日11月1日、文字を確認 | 欠けたページや文字を特定 |
| 説明対象の添付 | 設備別紙を取得、本体と対応 | 資料名を示して不足を照会 |
| 改変の確認 | 担当者の説明した方法で結果を確認 | 確認箇所・対応端末を聞く |
| 説明予定 | 10月14日、取得済み資料を使う | 不足解消前に済んだ扱いにしない |
表は横にスクロールできます。
受取票に書く結果は、実際に確認した内容へ置き換えます。まだ改変確認の方法を教わっていなければ、「問題なし」ではなく「確認方法の説明待ち」と残します。国のマニュアルは、提供した書面と到達した書面が同じ内容であることを、説明を受けた側に実際に確認してもらうよう、宅建業者へ求めています。
宅建士証と双方向の映像・音声を確認する
IT重説の開始前には、双方で映像と音声を確認できること、説明に使う重要事項説明書と添付が手元にあることを確かめます。通話へ入れたというだけで終えず、相手の声を明瞭に聞き取れるか、こちらの質問が届くか、書面を見ながら説明を受けられるかを試してください。
宅建士証は、画面上で氏名などの文字を読み、証の顔写真と説明する人の顔を比べて確認します。マニュアルでは、宅建士が説明を受ける相手に氏名などを読み上げてもらい、宅建士証が画面で確認できているかを確かめる方法が示されています。小さくて読めない場合は、そのまま見えたと返答せず、カメラの距離や表示を調整してもらいます。
端末のメーカーやOSが一律に指定されているわけではありません。必要なのは、今回使うサービスと書面に対応できることです。スマートフォン一台で通話とPDFを切り替えるのが難しいなら、別の画面や紙の控えを使う方法を相談できます。ただし、紙の控えを用意したこと自体が、適切な事前交付の代わりになるわけではありません。
聞き取れない箇所を残したまま進めない
説明の途中で映像や音声に支障が出た場合、宅建士はIT重説を中断し、原因を把握して支障を解消してから再開する必要があります。借主側も、「契約期間の説明から音が途切れています」など、分からなくなった箇所を具体的に伝えます。あとで書面を読めばよいとして、聞こえないまま終了を了承しないようにします。
通信が切れたときの連絡先を、通話サービスとは別に確認しておくと連絡しやすくなります。解消が難しい場合の中止や対面への切替は、担当者と調整します。再開するときは、どのページのどの説明から確認するかを合わせ、すでに説明した範囲と未説明の範囲を混ぜないようにしてください。
録画や録音を希望する場合は、目的や取扱いを事前に相談します。マニュアルは、当事者双方の了解などに配慮した対応を示しており、借主による無断録画を推奨するものではありません。録画があれば書面の取得や内容確認が不要になるわけでもありません。準備の全体は国土交通省のハンディガイドも参考になります。
日付や条件が違うときは修正版と回答をそろえる

開始日11月1日をどの文書で確認したか示す
303号室の例では、10月14日の重要事項説明を受けた後、契約前の確認で開始日を見直す必要が生じ、11月5日へ変更することで話がまとまったとします。説明に使った35-v1には11月1日が残っています。担当者の「変更します」という返答だけで、交付済みのファイルまで更新されたと考えないことが出発点です。
質問では、物件と文書名、該当する項目、現在の記載、確認したい内容をまとめます。たとえば「303号室の重要事項説明書35-v1の契約期間欄が11月1日開始です。先ほど確認した11月5日開始へ変更する場合、訂正版と変更箇所の案内を再度いただけますか」と聞けます。実際の文書名やページへ置き換えて使います。
ここで確認するのは、単なる表示上の誤記なのか、当事者が条件を変更するのかです。借主の希望日が11月5日だからといって、その日へ自分だけで直せるわけではありません。相手の回答に基づき、変更する項目と、まだ調整中の項目を分けます。返答が曖昧なら、確定した条件として次の書類へ写さないでください。
開始日が変わると、日割り賃料、鍵の受取予定、引っ越し予定などの確認にも影響し得ます。ただし、日付が四日後ろへ動いたから特定の費用が必ず四日分減る、と一律には計算できません。適用条件と再発行された見積書を確認し、費用の内訳は賃貸の初期費用見積書の確認方法と合わせて見ます。
訂正された35-v2の修正箇所と再交付を確認する
国土交通省FAQのQ26は、電子交付した35条書面について、重要事項説明後に記載の変更が必要になった場合を扱っています。変更を反映した電子書面を作成し、修正点を明示したうえで、改めて改変防止措置を施し、再度提供する必要があるという説明です。
303号室なら、11月5日へ変更した35-v2を受け取るだけでなく、「契約開始日を11月1日から11月5日へ訂正した」と分かる案内や表示も確認します。修正点がどこか分からない場合は、PDFを最初から最後まで見比べるだけに頼らず、担当者へ変更箇所を特定してもらいます。
さらに、訂正後の35-v2について、電子署名やタイムスタンプなどによる改変防止措置と、その確認方法を確かめます。旧35-v1で確認できたことを、そのまま新しいファイルにも当てはめないでください。修正済みのPDFがメールへ添付されているというだけで、訂正再交付の確認がすべて終わるわけではありません。
再提供の記録には、受け取った日、文書名、変更点、保存先、改変確認の結果を残します。たとえば10月15日に35-v2を取得し、開始日11月5日と修正箇所の表示を確認、指定された方法で改変確認を行った、と順に埋めます。実際に済んでいない確認を、書類が届いたという理由だけで完了にしないようにします。
全部の説明をやり直すかは変更内容と分けて考える
Q26は、変更後の書面を作成する必要がある一方、説明のすべてをやり直す必要はないとも説明しています。小さな訂正でも最初から全説明をやり直すことが常に法定義務だと決めるのは適切ではありません。しかし、修正後の内容を借主が理解しないままでよいという意味でもありません。
開始日が11月5日になる例なら、どの契約期間が変わり、費用や鍵の受取にどう影響するのかを質問します。説明の続き方は、変更内容と理解できている範囲に合わせて担当者と確認してください。回答を記録する際は「全説明を再実施」と「変更部分について回答を受けた」を区別できます。
自分のPDF編集アプリで11月1日を消し、11月5日と入力して保存する方法では、宅建業者が訂正した書面を再提供したことにはなりません。質問箇所へ自分用のメモを付けるなら、元データとは別の控えにし、公式に受け取った書面と取り違えないようにします。元の電子署名等の確認に影響する編集も避けます。
| 段階 | 303号室の記載・回答 | 確認する結果 |
|---|---|---|
| 説明前の35-v1 | 開始日2026年11月1日 | 10月12日に取得、14日の説明で使用 |
| 説明後の条件確認 | 開始日を11月5日へ変更する回答 | 希望だけでなく回答内容を記録 |
| 訂正された35-v2 | 11月1日から11月5日への修正を明示 | 新たな改変防止措置と再提供を確認 |
| 契約案v2 | 契約開始日11月5日 | 35-v2・費用等との不一致を解消 |
| 契約後の37条書面 | 確定した条件の記載を確認 | 契約成立後に取得し11月5日を照合 |
表は横にスクロールできます。
契約案v2にも同じ日付が反映されたかを見る
35-v2が直っていても、次に表示される契約案が11月1日のままなら、確認は終わっていません。契約への同意画面を進める前に、案の契約期間欄を開き、11月5日になったかを見ます。同じ文書番号に見えても、添付や表示内容が古いことがあるため、修正された箇所そのものを読み直してください。
内見時に確認した設備や使用条件にも変更があるなら、日付とは別の行で整理します。たとえばエアコンが設備なのか残置物なのかは、開始日の訂正だけでは解決しません。現地でのメモは賃貸の内見チェックリストのように物件・設備へ対応させ、今回の書面上の回答と比べます。
同意前の未解決欄には、「契約案は11月5日に修正済み、日割り費用の回答待ち」のように、残っている点だけを残します。何も書かれていない空欄を、確認済みと読める状態にしないことが大切です。不一致を見つけたこと自体で契約全体が無効と自己判断せず、回答と修正の結果をそろえてから判断します。
契約への同意後は完成書面を受け取り保存する

自分の操作と契約全体の状態を分けて確かめる
303号室の35-v2と契約案v2がそろい、不明点への回答も得られたら、実際の契約サービスが示す同意手順を確認します。何の文書へ意思を示す操作なのか、対象となる添付はどれか、操作後に自分の控えをどこから取得できるかを読みます。電子交付の承諾画面へ戻っている場合は、契約への同意と取り違えないようにします。
自分が操作を終えたからといって、あらゆるサービス・契約で、その瞬間に全当事者の手続きが完了するとは限りません。借主、貸主、関係者がどの順で対応するかや、サービスの状態表示は異なります。全員が同じ順番で電子署名するという架空の共通手順を当てはめず、今回の完了通知と担当者の説明を確かめます。
操作後の記録では、「借主側の操作をした日時」と「契約成立について受けた通知」を分けて控えます。契約がいつ成立したかに争いがある場合は、ボタンを押した時刻だけで法的な結論を出さないでください。文書、表示、やり取りをそろえて、不動産会社や専門家に確認する材料にします。
家族などに画面を読んでもらう補助と、本人に代わって同意してもらうことも別です。アクセス用のリンクを気軽に転送して誰かに操作してもらうと、誰が何を確認したかが曖昧になります。代理が必要な事情がある場合は、その権限とサービスの対応方法を事前に確認し、本人の操作として装わないようにします。
37条書面は契約後に取得して日付を照合する
契約が成立した後は、37条書面を遅滞なく受け取る段階です。例では10月16日に契約成立の案内を受け、その後、契約後の完成書面をダウンロードするとします。この日付の並びは説明用で、すべての取引に同じ日数を要するという目安ではありません。
契約前に届いた案を保存しているだけでは、契約後の37条書面を取得したことにはなりません。完成した契約書が37条書面を兼ねると説明された場合も、その役割と、契約成立後に交付されたものかを確認します。書類の名前が契約書だからといって、案と完成版を同じファイルとして扱わないようにします。
303号室の完成版では、物件と号室、契約当事者、契約期間の開始日11月5日を確認します。さらに、契約案v2で確認した特約や添付の内容も、完成版と対応するかを見ます。訂正したはずの日付が11月1日に戻っている場合は、自分で直して終了せず、どの書面が正しいかを担当者へ照会します。
受取記録の37条書面の行には、契約成立の通知日、書面を取得した日、保存先、訂正項目の照合結果を入れます。35-v2を取得した10月15日の記録とは別の行です。同じ日に取得する場合でも、説明前の書面なのか、契約後の書面なのかという役割を区別して残してください。
説明を受けた確認の署名と契約への同意を混ぜない
重要事項説明の後、説明を受けたことを確認するため、35条書面へ借主の電子署名等を求められることがあります。国土交通省FAQのQ32は、このような対応に問題はない一方、買主や借主が35条書面に電子署名等を施すこと自体は、宅建業法上求められていないと説明しています。
この説明確認の署名は、賃貸契約の条項に同意する操作と目的が異なります。画面に署名という言葉がある場合は、説明を受けた記録なのか、契約への同意なのかを確認します。また、法定の必須事項ではないという説明だけで、届いた操作依頼を黙って放置するのではなく、その目的と必要な対応を担当者へ聞いてください。
Q32が扱う説明前版の保持は、宅建業者が、説明前に適切な改変防止措置を施した35条書面を交付したことを示せるようにする、トラブル防止の留意事項です。借主全員に対して、特定の版を一定年数保存する独立した法定義務を課している、と読み替えるものではありません。
借主側でも、説明前に受け取った35-v1と、説明後の訂正35-v2、説明確認の署名等をした版があれば、その役割が分かる形で残しておくと経緯を確認しやすくなります。これは実務上の備えとしての提案です。署名後版だけを残して説明前版を上書きすると、何を読んで説明を受けたかを追いにくくなります。
元のファイルを保ったまま使いやすく整理する
保存する際は、受け取った電子ファイルをそのまま保ち、自分の質問メモや印刷用の控えと分けます。電子署名等のあるPDFを別形式へ変換すると、同じ確認機能が残るとは限りません。閲覧しやすい控えを作ったとしても、それだけを元の交付データの代わりにしないことが大切です。
ファイル名に「最終」があるかより、どの段階で受け取ったかを記録するほうが確実です。例なら「35-v1・説明前」「35-v2・日付訂正」「契約案v2・同意前」「37・契約後」という役割を、実際の文書名に対応させます。元の名称を変えたくない場合は、別の受取一覧へ対応を書けば整理できます。
制度上の扱いは国土交通省FAQのQ19・Q26・Q29・Q32〜34で確認できます。完成前の案、説明用に交付された書面、訂正再交付版、契約後の書面を区別することが中心であり、どのファイルにも同じ署名が付いていればよいという確認ではありません。
開けない・期限切れ・後日の確認に備える

ダウンロード期限と契約の期限を区別する
電子書面のダウンロードには、取得できる期限が設定される場合があります。FAQのQ27は、そのような期限を設けること自体は可能としています。ただし、期限までにダウンロードされず、別の手段などでも相手へ到達していなければ、電子書面を提供したことにはなりません。
リンクの期限が切れた場合は、何の書面を取得していないかを特定して、再提供を依頼します。「303号室の37条書面をまだ保存できておらず、取得リンクが期限切れになっています。取得できる方法を再度案内いただけますか」と伝えれば、契約の取消を求める連絡と区別できます。
すでに手元へ保存して開けるファイルがある場合は、リンクが切れても、そのファイルまで同時に消えるとは限りません。反対に、メールを保管しただけで添付やリンク先の書面を保存していないなら、必要な資料が残っていないことがあります。保存先から実際に開いて確かめると、自分がどちらの状態か分かります。
ダウンロード期限、契約への回答期限、家賃等の支払期限、電子証明書やタイムスタンプの有効期間は、それぞれ違うものです。リンクの期限が切れたことだけで、賃貸契約が自動で失効するとは判断しません。証明書等の有効期間後の確認方法についても、利用するサービスと担当者から説明を受けておきます。
閲覧できない問題が解消しなければ方法を相談する
ファイルが開けない場合は、対象文書、取得した日時、使っている端末や閲覧ソフト、表示されるエラーを整理します。個人情報を含む書面全体を、無関係なオンライン変換サービスへアップロードして試す必要はありません。まず不動産会社が案内する正規の方法で、対応するソフトや再提供の要否を確認します。
文字は読めるが改変確認の方法が分からない場合は、その点を分けて伝えます。「閲覧できません」とだけ言うと、文字表示の問題として案内されることがあります。署名パネル等の確認をどの端末で行うかを説明してもらい、説明を聞いたことと、自分で結果を確認したことを受取一覧で分けられます。
マニュアルは、電子書面が閲覧できないトラブル等が解消しない場合や、改めて電子化を拒否する申出があった場合、書面電子化を中止する必要があるとしています。中止の理由が取引そのものを続けないという意思ではない場合には、紙で交付する方法へ切り替えて対応することが可能です。
そのため、電子の受取方法に困っているだけなら、契約をあきらめるという話と一緒にしなくて構いません。「取引は進めたいが、今回の形式では読めないため、紙で受け取る方法を相談したい」と分けて伝えます。書面の受取りとIT重説の方法も別なので、紙へ替えた後の説明日程や接続方法を改めて確認してください。
303号室の保存一覧を未解決の点まで仕上げる
| 残すもの | 確認できる経緯 | 保存・再取得の確認 |
|---|---|---|
| 35-v1と必要な添付 | 説明前の11月1日という記載 | 説明前に取得した元ファイルを開く |
| 質問と回答 | 11月5日へ変更した内容 | 対象箇所・担当者・回答日を対応 |
| 35-v2 | 修正箇所明示と訂正再交付 | 新たな改変確認・取得日・保存先 |
| 契約後の37条書面 | 成立後に交付された確定条件 | 11月5日を確認、案とは分ける |
| 未取得・未解決の事項 | 不足の書面や確認方法 | 期限切れなら再提供依頼を残す |
表は横にスクロールできます。
一覧を仕上げるときは、各ファイルが開けることを確認してから保存先を記入します。同期用フォルダへ置いたつもりでも、実際にはリンクだけという場合があります。契約関係の資料を保存する場所と、そのバックアップをどこへ置くかを決め、引っ越しで端末やメールアドレスが変わっても取り出せる状態を考えます。
国土交通省FAQのQ33は、宅建業法には電子書面の保存についての規定がないと説明しています。一方、マニュアルは、保存の必要性を説明し、必要に応じてバックアップや紙の出力も勧めるよう示しています。一律に「借主は法律で十年保存」といった年数を付けず、後で契約条件を確かめられる備えとして保存してください。
紙に印刷すると読みやすくても、電子的な改変確認の機能まで紙に移るわけではありません。印刷物と元データの役割を分け、電子ファイルも取り出せるようにしておきます。また、住所、氏名、連絡先、契約条件が含まれるため、家族共有や勤務先の共有フォルダなどへ不用意に公開しないよう注意します。
後日の相談は該当書面と経緯をまとめる
入居後に契約開始日や費用の疑問が出た場合は、35-v2、契約後の37条書面、変更時の回答を一組で示せると、どの条件を確認したいか伝えやすくなります。退去時の原状回復など、別の条件を確認するときにも完成書面が役立ちます。請求の読み方は賃貸の退去費用の確認手順へ進めます。
担当者へ問い合わせても内容の不一致が解消しない場合は、相談した日、返答、問題となる条項を整理して、消費生活相談や法律の専門家など、内容に合う相談先へ確認します。資料を送る際は、相談に必要な範囲を選び、アクセス用の認証情報などを含めないようにします。電子署名の有無だけで勝敗や契約の有効・無効を決めることはできません。
電子交付とIT重説の実施条件については、国土交通省の実施マニュアルの書面提供、改変確認、保存、IT環境の項目を確認できます。業者側の遵守事項と借主の確認の工夫を区別し、自分の物件で何が済み、何が回答待ちなのかを記録するために使ってください。
賃貸の電子契約は、受取方法への承諾から、説明前の書面取得、訂正再交付、契約後の完成書面までを分けて確認すると進めやすくなります。303号室の例のように、変わった日付を各文書へ対応させ、取得と確認の結果を手元に残しましょう。


